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短編の感想でも。ハートウェル編の Year's Best SF15 よりヴァンダナ・シン"Infinities"。初出は短編集 The Woman Who Thought She Was a Planet(2008)の書き下ろし。短編集はインドの出版社から刊行された。
2010-05-31 00:59:35 via web
あらすじ:現代のインド。幼い頃から無限の謎に取りつかれてきたアブドゥルは数学者の道を目指すが、家庭の事情から断念し市井の一教師にとどまる。初老を迎え夢潰えた今も、親友ガンガダーと語らい独学で無限の謎を追い求めていた。しかし市内の宗教的対立が暴動に発展し、平穏な生活は破られる。
2010-05-31 01:00:07 via web
くしくも『最終定理』が脳天気にブッチした宗教対立であるとか科学とモラルの関係であるとかをテーマにしたシリアスな小説。ローカス2009年6月号のドゾワの短編レビューではル・グウィンの『所有せざる人々』のシェヴェックを引き合いに出して激賞されている。
2010-05-31 01:01:32 via web
無限の数学から超越的なビジョンに飛躍しつつそれを地上の物事に安易に結びつけない、そういう線の引き方は好き。でもヒューマニスティックな結末がちょっと苦手。全体として割と好き。☆☆☆★。
2010-05-31 01:02:26 via web
作者はインド出身だけあってインドの諸都市や神話に題材をとった作品が多いようだけど、このへん非ネイティブの作家(イアン・マクドナルド等)の描くインドとどれくらい違うものなのかちょっと興味ある。
2010-05-31 01:02:56 via web
こんな時間なので短編の感想。ハートウェル編の Year's Best SF15 よりユーン・ハ・リー"The Unstrung Zither"。初出はF&SF誌2009年3月号。
2010-06-02 03:09:54 via web
あらすじ:帝国の楽師ユンリンは鳳凰軍団の将軍に召し出され、コロニー群から破壊活動のため送り込まれて捕まった5人の龍の乗り手の少年たちの秘密を探り出すよう命じられる。ユンリンは5人を表現した組曲を作曲することで内面を探るが、次第に煮詰まりついに本人達に直接会うことを決意する。
2010-06-02 03:10:14 via web
中華風サイエンス・ファンタジイ。人類が宇宙に進出してコロニーとか建造しているのに、五行説に基づいたテクノロジーが存在し、木製のグライダーと機械の龍が宇宙で戦闘していたりする。そして音楽が元素の流れを制御する技術になっている。タイトルのZitherは琵琶か。
2010-06-02 03:10:37 via web
そんな月並みながらも丁寧な設定があるのに、後半でそれまでと全然関係ない展開にいってしまうあたりが大いに不満。☆☆★。
2010-06-02 03:10:52 via web
しかし読んでいて一番思ったのは、各コロニーが送り込んだ5人の刺客の少年ってそりゃアレだろう……と思っていたら、作者のサイトの影響を受けた作品に思いっきり「ガンダムW」とあった。URL
2010-06-02 03:11:18 via web
Subterranean Onlineの2010春号にダリル・グレゴリイの新作短編"What We Take When We Take What We Need"が載っているのに今頃気付いたのですかさずチェック。
2010-06-06 22:05:17 via web
あらすじ:放蕩で家を追い出され14年後、故郷の田舎町スイッチクリークに帰ってきたパクストン。しかし再会した父親は肥大化し、奇妙な体液を分泌するようになっていた。この体液は彼の血族の人間にのみ麻薬的効果をもたらし、それを叔母一家が狙っている。パクストンは父を守ろうとするが…。
2010-06-06 22:05:52 via web
読みながらなんか記憶にあるなと思ったら、長編 Devil's Alphabet の登場人物と地名が流用されていた。しかしいわゆるスピンオフではなく、長編での主要な出来事が起きなかった一種の平行世界として語り直されている。日本の今の小説ならともかく、ちょっと不思議な感じがする。
2010-06-06 22:07:27 via web
長編にくらべてパクストンと父親の関係に焦点を絞ったせいで物語のスケールはややこじんまりしてしまったが、体から湧いて出る麻薬を求めて親族が骨肉相食むあたりは南部ゴシック度アップかもしれない。
2010-06-06 22:08:22 via web
またパクストンの父親への思いが愛情なのか麻薬の中毒症状なのか、精神と肉体の相剋というテーマも明確になった。物語の最後「違いがあるのか」といってしまうところが「二人称現在形」にも通じ、いかにもグレゴリイらしい。ってこれ前にも書いた気がする。
2010-06-06 22:10:00 via web
長編の方は前も感想を書いたけど個人的にはごちゃごちゃしすぎという印象だったので、これはこれで好きだけれど、しかしいつものグレゴリイの手口という感じもするので☆☆☆★。
2010-06-06 22:11:01 via web
そういえば、タイトルにレイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること("What We Talk About When We Talk About Love")」の影が見え隠れしているのは、やはりテーマが愛だからだろうか。
2010-06-06 22:12:41 via web
カーヴァーの同作は訳者の村上春樹曰く登場人物達が「真剣に愛と救済を求めている」話だが、グレゴリイとしてはSF的設定を使ってその「愛と救済」をもう一段掘り下げるくらいの野心があったのかもしれない。妄想だけど。
2010-06-06 22:14:06 via web