俺が、俺たちが、パワードスーツだ!

先日リボルテック機動歩兵の発売が発表されたが、そんな現代におけるパワードスーツSF需要に応えたアンソロジーが早くも登場した。ジョン・ジョゼフ・アダムズ編のオール書き下ろしアンソロジー、Armoredだ。

Armored

Armored

編者のアダムズはSF/FTウェブジン Lightspeed 誌の発行人をつとめるかたわら、気鋭のアンソロジストとして活躍している。アンソロジストとしてのアダムズの特徴は、そのテーマに顕著だ。ポスト・アポカリプス、ゾンビ、ホームズ、銀河帝国、魔術師、ディストピア、そしてパワードスーツ……今さらそれやるの? みたいなベタなテーマを並べてつつも、SFのサブジャンルという枠を越えて、こう、ギークな魂に訴えてくるものがある。英米の第一線のアンソロジスト陣の中でも若い世代に属するだけあって、そのへんの感性をうまく仕事に生かしている感じがする。

さてこのアンソロジー、3月末発売なのでそれまで待つつもりだったのだが、先ほどARC(アドバンス・コピー=新刊見本)版が電子書籍で買えることに気付いてしまった。マスマーケット版の実に2倍の価格なのだが。この商法を考えついたやつは天才じゃなかろうか。殴りたい。

とりあえず『彷徨える艦隊』でおなじみジャック・キャンベルの短編を読んでみた。物語はミリタリーSFの常道というか、兵隊やるせない話。これに出てくるアーマー・アシスト(通称AA)は武器というよりは、環境適応スーツに人工知能がついたようなもの。やはり21世紀の作家がパワードスーツを描くと、コンピュータ的な要素が入ってくるのだろうか。めぼしいのを読んだあかつきには、どんなイメージでパワードスーツを描いているか比較検討してみたい。