8/15~20 SF情報

近刊情報

今週の新刊はちょうど今日ヒューゴー賞長篇を獲ったジェミシンのシリーズ2作目など。キャロライン・M・ヨアキム短編集の表紙が印象的。

キム・スタンリー・ロビンスンの来年の新刊。NYがネオ・ヴェネツィアみたいになっちゃう話なんですかね。

しばらく前に出たやつだけど、女性科学者を主人公にしたSFアンソロジー。アテナ・アンドレディス編のアンソロジーは一つ前のは買ったはずだが、これはまだな気がするのでメモ。

書評

ユーン・ハー・リー長篇の書評など。そういえば先日Twitterにも話題にしたけれど、リーはトランスジェンダー(生物学的に女性だが、性自認は男性)かつクイア(男性と結婚している)ということを最近知った。上記のジェミシンの記事もそうだし、ブラーブなどでもリーを"he"と表現していて「女性だったのでは?」「夫がいるといっていたはずだし……」と長年悩みの種だったのだが、謎が解けてスッキリした。

'Good Morning, Midnight'って新刊、タイトルだけはカッコいい(エミリー・ディキンソンの詩というのは後から知った)。

インタビュー

ジャンゴ・ウェクスラーのAMA。ウェクスラーはSF Signalでクールごとのアニメ紹介記事を書いていた頃からどんだけアニオタなのかと思っていたが、上記インタビューではYA向けアーバン・ファンタジィのForbidden Libraryシリーズは「カードキャプターさくら」と「ヤミと帽子と本の旅人」の影響を受けているとか語っている。

賞情報

ドラゴン賞、新設の賞ということでなんとなく新鮮さを期待していたが、蓋を開けてみると特段代わり映えしないし、パピーズの息もかかってそうだしで何だかな。文芸系SFが入らず、個人出版系のノミネートが多いのが特徴といえばそうか。

その他記事

シャイナーとスターリングによるワークショップ向けSFサブジャンル用語集。小説の実作などには役に立つかも。

8/8~13 SF情報

近刊情報

マシュー・ヒューズの〈エーム・カスロ〉ものの長篇。Asimov誌の書評やってた時に1本読んだが、シリーズになっていたのか。ヒューズは今熱いと話題(?)のジャック・ヴァンスのオマージュ作家と目される作家。ピカレスクものの〈故買屋ラフ・インブリー〉とか探偵ものの〈ヘンギス・ハンプソーン〉とか色々シリーズがあるそうので、ヴァンスのネタが切れたらこちらをどうか。

書評

『地球最後の刑事』のベン・H・ウィンタースの新作改変歴史もの、登場早々高評価だがNYタイムズの絶賛記事にオクタヴィア・バトラーがもうやってるからとツッコミ。作者本人の瑕疵ではないんだけど、SFプロパーというわけではない作者の試みがジャンル史とかぶってしまっている時の評価は難しそう。

インタビュー

ハンヌ・ライアニエミのビデオインタビュー。今サンフランシスコ在住で新しくスタートアップを立ち上げたそうな(この辺は以前のLocusのインタビューでも書いてあったかも)。

その他記事

インドの天体物理学者にしてSF作家ジャヤント・ナーリカーの紹介記事。フレッド・ホイルの共同研究者だったというのが面白い。やはりSFに手を染めたところとか影響を受けた?

宇宙探検ゲームNo Man's SkyのSF的影響について。

8/1~6 SF情報

近刊情報

ジェフ・ヌーンの新作が来年刊行の由。久しぶりに聞いたなその名前。

ジョン・ジョゼフ・アダムズ編のスペオペアンソロジー。これも来年春。スペオペは嫌いではないが、メンツ的にやや不安が残る。

8月の新刊はめぼしいものはなさそう。

書評

ミエヴィルの書評がちらほらと。

インタビュー

エマ・ニューマンのAMA。この人のSF第一作 Planetfall はSFマガジンの長篇短篇レビュウに感想を書いた。

その他記事

スウェーデンSFのアンソロジーなんてのが昨年出ていた。北欧SFも北欧ミステリくらい盛り上がるといいな。

7/18~29 SF情報

近刊情報

スワンウィックの新短編集。タイトルを見た感じダージャー&サープラスものか。

書評

ヴァンダミア夫妻のBig Book of SF、話題になっているようだ。大部過ぎて買ってないけれど……。

ミエヴィルのLast Days of New Parisももうすぐ刊行。

インタビュー

ウォーレン・エリスはコミックのライターとしての印象が強いが、小説の方もSFっぽい作品は気になる。

テッド・チャンのインタビュー。今年は久々に1作書いたんだっけ。

TOC

ジョン・ジョゼフ・アダムズ編の年間傑作選の今年の目次。ラシュディとかデクスター・パーマーとか入って文芸寄りか?と思わせつつ、新人の作を小まめに拾ったりもしている。

その他記事

順列都市』と『遠き神々の炎』のクロスオーバー二次創作……なんだこれ。作者のユドコウスキはシンギュラリティ周りで有名な人らしい。

今年刊行される英訳SFのリスト。既知のものもあるが、アラブ系の翻訳は少し気になる。あと、伊英翻訳専門のAcheron Booksの存在をはじめて知った。

地球・月間を舞台にしたSF長短編のリスト。『第六大陸』まで入ってるなかなかの網羅性なのに、私の好きな『ラグランジュ・ミッション』が入ってないのはどういうことだってばよ。

7/11~16 SF情報

近刊情報

ピーター・S・ビーグルの最新長篇が秋に発売。まだ現役だったことが一番の驚き。『最後のユニコーン』がらみの裁判は解決したのだろうか。

書評

Invaders, Drowned Worlds, Big Book of Science Fictionと今週はアンソロジーが豊作。個人的にはあまり再録アンソロには食指が動かないけれど。

インタビュー

初長篇が出たばかりのデイヴィッド・リーヴァインのインタビュー多め。宣伝のためにヒップホップを披露したりして先生頑張ってる。

その他記事

女性作家によるSF/FTリスト100冊。新しい本が多いのはいいが、いずれもマストかと言われると……?

94年にバンクスがニュースグループに投稿した〈カルチャー〉に関する覚え書き。

トールキンの初期の詩が再版されるとの由。

7/4~9 SF情報

近刊情報

書評

ヴァンダミアによる新人M・サデインのスペオペの書評。宇宙きっての美食通が謎に包まれたレストランを探す話らしい。作者はダグラス・アダムズをリスペクトしてるそうだから、銀河の果てのレストランてこと?

今年前半ベストリストに追加。

インタビュー

今年のヒューゴー賞ノヴェレット部門にノミネートされた中国の作家・郝景芳のインタビュー。中国SF大躍進ですねとコメントしたい反面、パピーズの推薦リストに載っていたこともあり政争の具にされるのでなければいいが。

TOC

その他記事

フランスSFの英訳を扱う新ウェブジン。ニール・クラークによればウェブジン多難の時代だそうだが、こういうニッチな需要に応えるものは長続きしてほしい。第1号はジャン=クロード・ドゥニャック等の短篇が載っている。

ジェフ・ライマンのアフリカSFレポート。長くてまだ読めていない。

6/27~7/1 SF情報

近刊情報

7月はストラーンのアンソロジーは買うとして、デイヴィッド・リーヴァインのスチームパンクっぽいのを買うかどうか。

書評

マルカ・オールダーの長篇の書評。イギリスのEU離脱でmicro-democracyを描く本作が注目を集めたりしないだろうか。

ユーン・ハー・リーの長篇の書評もまだまだ出ている。

今年の前半のベストSFリストが早くも。チャーリー・ジェーン・アンダーズの長篇がよく入っているが、個人的にはそこまで評価高くない。

その他記事

イアン・M・バンクスの〈カルチャー〉シリーズのアカデミックな研究書。Use of Weaponとかはいつか読みたい。

ワープロや筆記ソフトの話。最初にワープロで小説を書いた作家がレン・デイトンというのがへえ度高し。

ディックの文章は本当に下手なのか?問題。ものの本にはよく書いてあるけど、翻訳しか読んでないので何とも言えない。それよりこの前Redditで読んだ「ディックの長篇には大抵1回登場人物がおならをするシーンが入っている」という都市伝説が興味深い。

上記に関連してSFの名文・美文について。プリースト、ル=グウィン、ウルフ、ヴァンス、まあそうだろうなという並びの中にハルキ・ムラカミもいてちょっと驚き。