2012-01-01から1年間の記事一覧
これまた10/6に京フェスの合宿で行った「未訳SFの部屋」の発表のまとめです。趣旨としては発表者のお気に入りの未訳作品を紹介するというものですが、ただ一方的に話すのでは聞く側もダレてくるという今までの経験から、今回は発表者がそれぞれの手駒のキャ…
10/6に行われた京都SFフェスティバルの合宿で、ロシア文学の研究者である宮風耕治さん・松下隆志さん、そしてSFレビュアーの橋本さんと「ロシア&東欧・北欧の部屋」という企画を行いました。名前の通り、未訳だけれど注目すべきSF・ファンタジイの話を専門…
La Science―fiction フランス流SF入門作者: ステファンヌ・マンフレド,藤元登四郎出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス発売日: 2012/06/21メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (6件) を見る ステファンヌ・マンフレド『フランス流SF入門』…
いいかげん再会させようとずっと思っていながら、すっかりこのブログも放置してしまっていた。そもそもブログをやっている理由はかっちりした内容の文章を書きたいという思いからだったのだけど、このままだとどうも遠ざかるばかりなので、しばらくはリハビ…
テッド・コスマトカは00年代後半から年間傑作選や各種SF賞に名を連ねるようになった比較的新顔の作家である。元々生物系のラボを転々としていたという経歴の示すとおり、作風はバイオ系のサイエンスを扱ったものが多い。*1そんな著者が2012年に上梓した初の…
発表の最後で取り上げたユーン・ハー・リーの短編について少し思うところがあったので、ファンレターがてら訊いてみたところお返事をいただいた。もはや本題とほとんど関係ないけど、面白かったので追記しておく。 Q.インタビューの中で"The Book of Locked …
5/4に行われたSFセミナーの合宿企画で「ジャパネスクSF探訪」という企画を発表してきました。実際の発表についてはあまりの至らなさに切腹を考えましたが、せっかくなので発表メモというかほぼ原稿を載せておきたいと思います。実際の発表では結局読み上げな…
第1回からしばらく続いた宇宙・ハードSF方面は今回でいったん終了し、次回からはアメリカで00年代に活躍しはじめた新人作家へと移る(予定)。さてトリを飾るのは、ポール・J・マコーリイである。 ポール・J・マコーリイ(1955〜) 00年代の代表作 The Secr…
Planesrunner (Everness)作者: Ian McDonald出版社/メーカー: Pyr発売日: 2011/12/20メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る 要約 エヴァレット・シンは現代のロンドンに住む14歳の少年。彼の父親テジェンドラは量子物理学者で、自分の研究をはじ…
先日リボルテック機動歩兵の発売が発表されたが、そんな現代におけるパワードスーツSF需要に応えたアンソロジーが早くも登場した。ジョン・ジョゼフ・アダムズ編のオール書き下ろしアンソロジー、Armoredだ。Armored作者: John Joseph Adams出版社/メーカー:…
ケン・マクラウド(1954〜) 00年代の代表作 Cosmonaut Keep(2000) Dark Light(2001) Engine City(2002) Newton's Wake(2004) Learning the World: A Scientific Romance(2005) The Execution Channel(2007) The Night Sessions(2008) 00年代に紹介されたSFの…
今回は00年代でもっとも精力的だったイギリスのハードSF作家たち、その代表格であるチャールズ・ストロスを取り上げたい。 チャールズ・ストロス(1964〜) 00年代の代表作 シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)(2003) アイアン・サンライズ (ハヤカワ文…
ウィルスンに続いてカナダ勢から、00年代のハードSFシーンで注目度を高めたピーター・ワッツを取り上げたい。 ピーター・ワッツ(1956〜) 00年代の代表作 Maelstrom (Rifters Trilogy)(2001) Behemoth: B-Max(2004) Behemoth: Seppuku(2004) Blindsight(2006)…
ちなみに全体の流れとしては以下のようなものを考えている(区分はおおむね個人の脳内分類による)。00年代の本格SF・宇宙SF→現代アメリカSFの主力作家→存在感薄めなイギリスSF作家→保守的なハード&ミリタリーSF作家→次世代の新人たち→(最近活躍の女性作家…
2012年にもなって今更という感はあるが、00年代の海外SFのベストをひとつ考えてみたいと思う。思えば00年代は私が海外SFを読み始めた時期であり、この期間を振り返ることで自分の中のSFなるものを再確認したいという思いは常々あったのだけど、怠惰であると…