6/12~30 SF情報

近刊情報

『ペナンブラ氏の24時間書店』の作者の新作で9月刊行。IT企業に勤める主人公が潰れた行きつけのパン屋から秘伝のパン種を受け継いで……という、またも伝統とハイテクが交錯する話になりそう。

フィンランドSFの英訳アンソロジー。今年のワールドコンの会場で販売するそうなので、行けたら買ってくるぜよ。本当はkindleでほしいが。

ニール・クラーク編のロボット・アンドロイドSFアンソロジー。書き下ろしがあるといいのだが。

書評

インタビュー

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その他記事

ミリタリーSFビンゴが載っているサイト。SFマガジン2017年8月号がミリタリーSF特集をやっているが、意外とビンゴするものは少ないかも。邦訳の段階でアレすぎるものは除外されているのか。

Twitterでもつぶやいたが、2000年代後半から活発化してきたSFと産・官・学諸分野との提携を豊富な事例で紹介している記事。ポピュラーサイエンスやテック雑誌がSFを特集する、企業やシンクタンクがSFアンソロジーを発行する、といった事例が単に物好きな話というだけに留まらずトレンドであることがわかる。

実際のところ、こうした近未来アンソロジーにそこまで面白い話が載っていたこともなく、SFにそういう未来予想を求めるのはお門違いでは?という気持ちもあるのだが、それはそれとしてこの潮流は興味深いので引き続きウオッチしていきたい。

もう一つのブルース・スターリングのインタビューはそういうSFプロジェクト的なものの意義に懐疑的、SFは現在を反映するものというスタンスで、いかにもサイバーパンクの人らしい。

太平洋天文学会が公開している天文事象に関係したSFのリスト。それほど新しい作品は入っていないが、テーマ別にまとめられており、なかなかの充実ぶり。

インドでベストセラーになっているラーマーヤナを元にしたファンタジィの紹介。「インドのトールキン」とは大きく出たな。アショク・バンカーのとか、ラーマーヤナは定期的に流行っている気がする。

現代アラブ世界のSFの動向についての記事。話を聞く限りサイエンスというかスペキュレイティヴ方面。

5/29~6/10 SF情報

近刊情報

6月の新刊で気になっているのは南アフリカSFのPrey of Godsあたりか。ちょっとB級くさいけど。グレゴリイの新刊はまたファンタジイっぽいのでどうしようかな。

アダム・ロバーツの新刊予告だが、今度はミステリ・サスペンスだろうか。ロバーツ作品は大ネタありのSFなところが気に入っているので、これはさほどでも。

書評

インタビュー

新刊Borneを最近上梓したヴァンダミアのインタビュー。

アナリー・ニューイッツ、チャーリー・ジェーン・アンダーズ、マルカ・オールダーの女性SF作家三羽烏?による鼎談。9月予定のニューイッツ初の小説は気になる。

その他記事

Xプライズ財団がバチガルピ、ドクトロウ、スターリングなど錚々たるSF作家陣を招集して、明るい未来像を提案するプロジェクトを発表。それ自体は最近の流れなのでいいとして、第一弾が全日空とのコラボで20年後の未来に飛んだ旅客機の話のアンソロジーってなんだそれは。バチガルピの全日空小説なんて読みたすぎるだろうが。

忘れられた19世紀スコットランド生まれのSF作家、ロバート・ダンカン・ミルン。ヴェルヌとウェルズの中間くらいの世代で、破滅ものや時間SF、はては自動兵器などのアイデアを描いてらしい。プロジェクト・グーテンベルクにも登録されていないし、本当に忘れられた作家なんだな。

チェコSFの英訳アンソロジー。CCライセンス下で無償配布している。編者ジュリー・ノヴァコヴァはチェコSFの翻訳や自作を各種雑誌・ウェブジンに寄稿しているのをちらほら見かける。

5/15~5/27 SF情報

近刊情報

スー・バークの初長篇は植物型生命とのファーストコンタクトもの。2018年2月刊行だからだいぶ先だが、なかなか面白そう。

アシモフの「夜来たる」のオマージュ長篇で、これも2018年刊行予定。作者のマイケル・デイヴィッド・アレスは聞いたこともないド新人……と見せかけて、さる著名SF作家の筆名らしい。ジェイムズ・S・A・コーリイなんかもそうだが、なぜ速攻でバレる/バラすのに別名を使うのか? わからん。

瞬間的にTwitterで話題になってたロボットVS妖精のアンソロジー。来年1月予定。

書評

インタビュー

グレゴリー・ベンフォードのAMA。新作の歴史改変ものBerlin Projectはベンフォードの義父の経験にちなんでいるそうな。

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ホートンの年間傑作選の目次。

その他記事

(※PDF直リンク注意)フェルミパラドックスを解決する夏眠仮説。ポストヒューマン化した文明は物理レベルでより効率的に計算資源を使うため、宇宙が老いて宇宙の温度が下がるまで文明を休眠させる(だからまだ若い宇宙にいる我々には見つからない)、というような話らしい。著者の一人Milan Cirkovacはカール・シュレイダーの長篇Permanenceをネタに論文を書いてたりした人である。

1988年に書かれたオクタヴィア・バトラーの自筆メモなのだが、自分を奮い立たせる言葉があまりに必死で胸を打つ。黒人女性作家の先駆けという精悍なパブリックイメージに反して内気な人だったというのがなんとなくわかる。

今月の中国SF情報。郝景芳がアウディのCMに出演してるのはバブル感あってすごい。

4/24~5/13 SF情報

SF Signalの終了を受けて昨年5月に始めた海外SFリンクの収集だが、我ながら珍しく1年続いている(定期的にサボっているが)。誰が見ているわけでもないが、今後も可能な範囲で継続していきたい。

近刊情報

5月の新刊はぱっとしないが、Tor.comのSFノヴェラはチェックしてみるか。

オナー・ハリントン、エンダー、彷徨える艦隊など人気スペオペのスピンオフ短篇を集めたアンソロジー。商売上手。

噂のギブスンの来年の新作。ヒラリーが大統領戦で当選した世界を描くとか。

話だけは以前から流れていたアンディ・ウィアーの第2長篇が秋公開。既に映像化の話も動いているということだが、さてどうなるか。アーネスト・クラインとかセス・グレアム=スミスとか、一世を風靡したけれど失速していった作家の前例もあることだし。

サブテラニアンのウェブジンが終わってからだいぶ経つ気がするが、ベストアンソロジーが出るらしい。

荒巻義雄の『神聖代』英訳が出るそうな。この評では散々だが。

書評

インタビュー

4月末にともに新刊を出したドクトロウとヴァンダミアの対談。

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ストラーンのInfinityアンソロジーシリーズ、次のテーマは戦争SF。いよいよネタ切れの感。

その他記事

架空言語ジェネレーター。

ショーナン・マクガイアやJ・Y・ヤンの作品で、コピーエディタがノンバイナリーの登場人物の一人称theyをheに変えていた騒動のまとめ。作者の意図は守られるべきという話とは別に、非英語話者からするとthey使われるのはちょっと厄介だな……。

100年後のイギリスの健康をテーマにした短篇コンテスト。

2017年のヒューゴー賞ノヴェラ部門のノミネート作で作品のワード数との相関を調べたところ、27500~40000ワードの範囲内に収まったという結果。紙の雑誌掲載作は長くても25000ワード未満なので、一つもノミネートされなかったと。ヒューゴー賞を狙っている人は長めのノヴェラが狙い所ですぞ。

ディストピア小説を書いているエジプト作家のインタビュー。エジプトのSF(っぽい話)英訳はカイロ・アメリカン大学の出版がいくつか出しているようす。

プロメテウス賞というリバタリアン思想の観点からSFを表彰する賞がブログをはじめた。そのトップバッターがオープンソース創始者の1人エリック・レイモンドだったのでおやと思ったのだが、レイモンドはそもそも長年のSFファンでプロメテウス賞の審査員も務めていたのね。

4/10~22 SF情報

近刊情報

書評

インタビュー

賞関連

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その他記事

イーロン・マスクはイアン・M・バンクスの〈カルチャー〉から思想的影響を受けているという話。

英語圏SFの英訳の紹介。非英語圏SFはあまりジャンルSFっぽい匂いがしなくて(そこが魅力なのだろうが)個人的にはとっつきにくいのだが、この中ではスペインSFのMonteverdeは異星言語学者の話でちょっと面白そう。

3/27~4/7 SF情報

近刊情報

4月の新刊もあまりビビッとこないもの多し。ジョン・ジョゼフ・アダムズのアンソロジー買うくらいか。

オーウェルの向こうを張った未来予想アンソロジー。聞き覚えのない人含め、最近の作家が揃っている中でのクリストファー・プリーストの存在感。それにしても未来=ディストピアになってしまう時代なのが悲しい。

書評

インタビュー

アリエット・ドボダールのインタビュー。ここでは好きな/影響を受けたアニメとして「鋼の錬金術師」「黒執事」を挙げているが、ドボダールというとやはり「少女革命ウテナ」好きという印象が。Twitterアイコンも有栖川樹璃だし。

賞情報

アフリカSFの賞のノミネート。Amazonに売ってないのもあるな。

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その他記事

パリ第5大学の調査でジュール・ヴェルヌゆかりの地所からタイムカプセルが出土。なんか小説の冒頭部みたいな話だ。いや、ヴェルヌのものとはまだ確定してないんだけど。

3/13~25 SF情報

ベスト2016

近刊情報

ロシアのファンタジイの翻訳。なんかググると過去にも翻訳されているようだけど、ハーパーボイジャーが出すのでニュースになったのか。

現代ポーランドSFの巨人ヤツェク・ドゥカイの代表長篇Iceの英訳権が売れたという話。喜ばしいといえばそうだが、一体いつ出ることやら。どちらかといえば遠未来ものの方を訳してほしかった。

書評

 

 

 

 

 

 

インタビュー

その他記事

中国SFの記事。最近少し食傷気味。

スコルジーの新刊発売に、パピーズ陣営のヴォックス・デイがパクり長篇を出したところ、アマゾンから除外されたという話。表紙までそっくり真似て、まあしょうもない。 多少公平を期すなら、両陣営ともお互いを揶揄する本はこれまでも出してたんだけど、今回はアマゾン取り下げという手を使った(そして受諾された)ということで憤慨しているようだ。 普通に商売妨害する気満々なので、しょうがないのではという気がする。

『ステーション・イレブン』の作者のタイムトラベル短篇と、物理学者のタイムトラベルに関するコメント。

実在の作家(もしくはモデルになった人物)が登場するSF小説のリスト。って、P・K・ディックが登場するダリル・グレゴリイのPandemoniumが入ってないじゃん。やり直し。